情報共有は、業務を進める上で必要不可欠であり、多くの会社が情報共有の徹底に取り組んでいます。
しかし、情報共有を推進しているはずが、なかなか社員に浸透していない会社や組織も多いのではないでしょうか?
そのような場合には、仕組みやルール、さらには情報共有に対する社員の心理が影響していることが考えられます。この記事では、情報共有ができない原因と対策のポイントについてご紹介します。
なぜ情報共有が必要なのか
情報共有ができない、定着しない原因を考える前に、そもそも情報共有の必要性を正しく理解できていますでしょうか。情報共有をする目的が正しく理解できていないと、組織に浸透しないばかりか、間違った方法で行なってしまう可能性もあります。ここでは、情報共有の意義について詳しくみていきましょう。
情報共有の意義
情報共有の意義は、以下の5点が挙げられます。
・組織の成長のために必要な情報を取捨選択する
・ナレッジの属人化を防ぐ
・業務の生産性を上げる
・コミュニケーションを活性化する
・新たな発想を生む
収集した情報は会社や組織にとって資産になります。とはいっても、収集した情報がすべて資産になるかというとそうではなく、膨大な情報の中でどの情報が必要か見極めなければいけません。メンバーが個々で収集した情報の共有を行うことで、その中から必要な情報を取捨選択し、成長のために必要な情報を蓄積することができます。
また、情報共有は、ナレッジの属人化を防ぐ意義もあります。ナレッジの属人化を防ぐことで、社員全員のパフォーマンスが向上し、作業の効率化を図れます。さらに、情報共有をきっかけにコミュニケーションが生まれます。コミュニケーションが活発な会社や組織では、そのコミュニケーションをきっかけに新たな発想やアイデアも生まれやすくなるのです。
共有すべき情報とは
情報共有の意義を理解していただいたところで、具体的にどのような情報を共有すべきなのでしょうか? 具体的に共有すべき内容として、主に以下の4項目が挙げられます。
・仕事の目的や目標
・ノウハウ
・タスク・スケジュール
・仕事の結果・問題
まず、仕事の目的や目標を共有することで、社員全員が業務の進むべき方向を認識できるため、仕事の開始時やその過程において、都度言語化して共有することが大切です。次に、ノウハウの共有では、業務遂行の過程でうまくいった事例等を共有することで、組織全体のスキルの底上げを図ることができます。
タスク・スケジュールの共有では、自身の仕事の進捗状況を随時共有することで、作業の遅れを早期発見することに繋がります。仕事の結果や問題の共有では、より良い事例を共有して汎用性をもたせ、問題点やクレームを早めに共有することで、火種が大きくなる前に解決することに繋がります。
自身の組織の現状は?
ここまでみてきたように、多くの意義がある情報共有ですが、自身が所属する会社や組織では、情報共有を正しくできているでしょうか。ここでは、情報共有ができているかチェックしてみましょう。
・お互いのタスクや進捗を把握していない
・効率的に作業ができていない
・社員同士のチームワークが悪い
・社員によって情報共有の仕方が異なる
・情報共有したつもりになっている
以上の項目に1つでも該当している場合、情報共有が機能していない可能性があります。このような課題感をおもちの組織は、なぜ情報共有がうまく機能しないのでしょうか。ここからは、いよいよ情報共有ができない原因について解説していきます。
情報共有が進まない原因
会社や組織の情報共有が進まない原因として、仕組み・ルールに問題がある場合と社員の意識に問題がある場合の2点が考えられます。これら2点について、詳細をみていきましょう。
仕組み・ルールに問題がある
情報共有には、仕組みやルールを設定することが必要です。仕組みやルールがなければ、社員はどのように情報共有すれば良いかわからず、情報共有を積極的に行おうとしません。
ただし、ただ仕組みやルールを決めれば良いというものではありません。仕組みやルールを決めた場合でも、その仕組やルールに問題があれば情報共有不足の原因となってしまいます。仕組みやルールの問題は、具体的には以下のようなことが考えられます。
情報共有に手間がかかっている
情報共有の手段は、口頭やメール、情報共有ツールなどさまざまです。情報共有の際には、これらの選び方や使い方に問題があると、情報共有がうまくいかずに無駄に時間が取られてしまいます。
例えば、どんなに小さな情報もすべてメールで共有すると決めてしまうと、情報共有のたびにメールを作成しなければなりません。特に、社員数や部門数の多い会社では、情報共有する機会や情報量が増えるため、さらに手間と時間がかかってしまいます。その際は、重要な内容に関してはメールで共有し、簡単な相談や報告に関しては口頭やチャットなど、手段を使い分けることをおすすめします。
情報を一元管理できていない
情報を一元管理できていない場合も、情報共有が進まない原因となります。保存場所や保存形式などが情報によって異なると、情報を参考にしたい際に、探し出すのに手間がかかってしまいます。
さらに、情報を一元管理できていないと、過去にどのような情報が共有されたかすぐに確認できないため、何度も同じ情報を共有してしまう可能性があります。
伝え方やタイミングが決まっていない
情報共有の伝え方やタイミングが決まっていないと、やらなくても良いと自己判断したり、面倒だと感じたりするのがメンバーの心理なため、情報共有は積極的に行われません。情報共有すべき内容を紹介してきましたが、内容のほかに伝え方やタイミングを決めることも大切です。
情報共有のルールを決める際は、社員が「いつ、どのように、何を」共有するかがわかるルールにしなければなりません。情報共有のタイミングを社員任せにすると、社員によって情報共有レベルに差が出てしまう可能性があります。特に、新入社員や若手社員は進捗の遅れやトラブルの共有が遅れがちになるため、タイミングを決めることは大切です。
意識に問題がある
上司や同僚に情報共有をしない方がいる場合、情報共有に対しての意識に問題があると考えられます。情報共有しない心理として、具体的に以下のようなことが挙げられます。
情報共有の重要性(メリット)を理解していない
社員が情報共有の重要性を理解していないと、情報共有は積極的に行われません。これは社員が情報共有を行うことで得られるメリットを具体的にイメージできていないことが考えられます。そのため、社員は情報共有をする必要がないと判断してしまうのです。
情報共有に抵抗を感じている
情報共有のルールがあるのにもかかわらず進まない場合は、情報共有に対して抵抗を感じている社員がいる可能性があります。例えば、部下が情報共有をしたら、上司にむやみに怒られると、部下は情報共有をしようと思わなくなります。また、上司が何の対応もない場合も、部下は情報共有をする必要がないと感じてしまいます。
情報共有の優先順位が低い
最後に、情報共有の優先順位が低いことも、情報共有が進まない原因として考えられます。この場合、社員は情報共有をする必要性は理解しているかもしれませんが、優先順位が低いため、進捗の遅れがあっても他のタスクを優先してしまっています。そのため、問題が深刻化してから社員が対応に追われることになるため、作業効率が低下してしまうのです。
情報共有を進めるためのポイント
上述のように、仕組みやルール、社員の意識に問題があると情報共有は進みません。原因がわかったところで、仕組み・ルールと意識に対しての具体的なポイントをご紹介していきます。