ビジネスにおいて、出張やクレームがあった場合、その都度報告書を作成する必要があります。報告する機会が多い一方で、新入社員などビジネス文書に書き慣れていない社員は、作成方法がわからず手間がかかっている方も多くいらっしゃるかもしれません。そこで、こちらの記事では、報告書の書き方とコツをご紹介します。報告書作成の基本をおさえ、誰もが読みやすい報告書を心がけましょう。
報告書とは
報告書とは、出張やクレーム、または上司から任された案件や指示された事柄について、実施した内容と結果、所感などを報告するためのビジネス文書です。報告書と一言でいっても、定期報告書やトラブルの報告書など、その種類はさまざまあります。報告書の作成方法の前に、その種類についてご紹介します。
社内向けと社外向けの違い
報告書は、社内向けと社外向けで、書き方や記載内容を変える必要があります。社内向けの報告書は、迅速な情報伝達が最優先であり、前文などを省略するのが一般的です。一方、社外向けの報告書は、結論を優先することは大切ですが、相手に対して失礼にならないよう、前文にて挨拶を記載し、ビジネスマナーを守った文書にすることが大切です。
報告書に限らず、ビジネス文書を作成する際は、社内向けと社外向けで書き方が異なります。作成する際は、2点のポイントがありますので以下で詳しく解説します。
1.書き出し
ポイントの1点目は、社内向けと社外向けの報告書の書き出しです。
まず、社内向けの文書では、迅速な情報伝達が目的のため、挨拶は省略し、報告内容から書き出します。本題から書き出すことで、忙しい上司や同僚でもすぐに内容を把握することができます。
一方、社外向け文書では、いきなり本題から書き出しては失礼なため、前文が必要です。前文とは、本文の前に、前置きとして述べる挨拶です。前文は、頭語、時候の挨拶、相手の繁栄を喜ぶ挨拶もしくは安否を尋ねる挨拶を書く必要があります。社外向け文書を作成する際は、前文を忘れずに書きましょう。
2.数値等の事実の正確さ
ポイントの2点目は、数値等の正確さです。これは、社内向けや社外向けに関わらず、守らなければいけません。情報を正確かつわかりやすく書くポイントは、以下の2点が挙げられます。
- 箇条書きを活用する
- 重要な部分を強調する
まず、1点目は箇条書きを活用することです。箇条書きを活用することで、報告内容の項目の1つ1つが視覚的に明確になるため、把握しやすくなります。そして2点目は、必要に応じて重要部分を強調することです。これにより、読み手はどの情報が重要なのかを把握できます。
定期と不定期
報告書には、定期で作成するものと不定期で作成するものがあります。定期報告書と不定期報告書は、それぞれ以下のもようなのが挙げられます。
定期報告書
- 日報・週報・月報
- 出張などの報告
- 企画や調査などの報告
不定期報告書
- トラブルの報告
もし、定期的に作成する報告書がある場合は、基本フォーマットを用意しておくことで、作成の手間と時間を削減できます。基本フォーマットに関しては、「報告書の基本フォーマットと例文」にてご紹介します。
提出のタイミング
定期的なものなのか、急を要するものなのかなど、内容によって、提出するタイミングも異なります。例えば、日報であれば毎日提出する必要がありますが、出張やセミナーの参加の報告は、参加したその都度提出します。
特に注意しなければいけないのがトラブルの報告です。トラブルの報告は、事故やトラブルが発生したらすぐに作成し、早期対策と会社全体で再発防止に努めなければいけません。ただし、トラブルが発生した場合は、まずは事実確認を行い、取引先やお客様に謝罪する必要あります。
報告書の書き方
報告書の種類をおさえたところで、ここからは報告書の作成方法についてご紹介します。基本的なポイントとワンランク上の報告書の作成のコツの2点をおさえ、わかりやすい報告書を作成しましょう。
作成の基本ポイント
報告書を作成するための基本ポイントをご紹介します。報告書を作成する際は、以下の3点をおさえましょう。
- 誰に何を伝えるのかを明確にする
- 構成を考えてから作成する
- 箇条書きを使って簡潔に書く
では、それぞれのポイントについて詳しくご紹介します。
1.誰に何を伝えるのかを明確にする
ポイントの1点目は、誰に何を伝えるのかを明確にすることです。明確にすることで、書き出しと書く内容を決めることができます。例えば、社内向けに会議の報告をする場合は、前文を書かず、報告内容から書き出します。「誰に」を明確にすることで、正しい書き出しを作ることができます。「何を伝えるのか」を明確にすることで、必要な情報を洗い出し、漏れなく掲載することができます。
2.構成を考えてから作成する
ポイントの2点目は、構成を考えてから作成することです。つまり、まず何を書くのかを明確にし、伝えやすくするにはどのように伝えれば良いのかを定めてから、文書を作成することです。ビジネス文書を作成する際は、いきなり書き出すのではなく、構成をつくり、相手に読みやすい報告書を作成することを心がけましょう。
3.箇条書きを使って簡潔に書く
ポイントの3点目は、箇条書きを活用し簡潔に書くことです。箇条書きを活用することで、長い文章を読む手間が省かれ、早く情報を伝達することができます。例えば、研修報告をする場合は、以下のように研修内容や開催日時を明記します。
記
1.研修テーマ 「デジタルマーケティングの基礎知識」
2.主催者名 株式会社〇〇
3.開催日 令和〇〇年〇〇月〇〇日
10:00〜12:00
4.開催場所 〇〇ホール 3階会議室
5.研修内容 内容は以下の通り
・〇〇〇〇
・〇〇〇〇
・〇〇〇〇
6.所感 〇〇〇〇
また、箇条書きだけでなく、重要部分を強調したり、図や表を活用することで、一目で情報を把握しやすくなります。
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ワンランク上の報告書作成のコツ
ここからは、ワンランク上の報告書作成のコツをご紹介します。読みやすい報告書を作成する際は、以下の4点を心がけましょう。
- 事実と意見を分けて書く
- 結論を冒頭に端的に書く
- 曖昧な表現はやめて数字で書く
- 5W2Hを盛り込んで書く
では、それぞれのポイントを詳しくご紹介します。
1.事実と意見を分けて書く
ポイントの1点目は、事実と意見を分けて書くことです。報告書には、議事録など事実のみを報告するものだけでなく、調査報告書など意見を述べる必要があるものもあります。その際は、事実と意見を分けて書くことで、説得力のある報告を作成できます。例えば、調査の報告書で、「A地域に出店すべき」だと所感を記述する場合は、その根拠を事実を元に述べることで、読み手は納得できます。
2.結論を冒頭に端的に書く
ポイントの2点目は、結論を冒頭に端的に書くことです。結論を冒頭で述べることで、読み手は何について書かれているのか把握しながら読み進めることができます。
報告書に限らず、ビジネス文書では冒頭で結論を述べることが重要です。ビジネス文書は、忙しいビジネスパーソンが迅速に内容を把握するための手段であり、最後まで結論がわからない文書では意味がありません。ビジネス文書では、結論を冒頭で述べ、何を伝えたいのか明確にしましょう。
3.曖昧な表現はやめて数字で書く
ポイントの3点目は、相手によって捉え方が変わってしまうような、曖昧な表現をやめ、数字で具体的に書くことです。例えば、イベントの報告書において、「多くの人が参加した」と記載するのではなく、「1000名が参加した」と数字で記載することで、より具体的に内容を把握できます。報告書を作成する際は、曖昧な表現を避け、数字を使って正確に情報を伝えましょう。
4.5W3Hを盛り込んで書く
ポイントの4点目は、5W3Hを盛り込んで書くことです。5W3Hは、以下の通りです。
- When:いつ
- Where:どこで
- Who:誰が
- What:何を
- Why:なぜ
- How:どのように
- How much:いくら
- How many:いくつ
基本的な文章では、5W1Hが求められます。一方、ビジネス文書では、さらに、「いくら」「いくつ」という2Hを加えることで、具体的かつ正確な文章を作成することができます。調査の報告書で、「A地域に出店すべき」と所感を述べる場合、出店の費用や店舗数も提示することで、具体的な提案をすることができます。
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報告書の基本フォーマット
報告書の書き方とポイントをおさえたところで、ここからは報告書の基本フォーマットと例文をご紹介します。報告書を書き慣れていない方は、こちらのテンプレートや例文を参考に作成しましょう。