新しい働き方として多くの企業で導入が始まったリモートワーク。
リモートワークを取り入れれば、企業は会社の立地や従業員の居住地に捉われず有能な社員を雇うことができます。
また、社屋の規模を縮小することが可能で大幅に維持費を削減できますし、社員側は通勤時間がなくなることで豊かな生活が手に入るでしょう。
その柔軟な働き方は現在の日本社会の課題「ワーク・ライフ・バランス」を叶えることができる働き方と言われており、政府でも積極的にリモートワークを進めているのです。
リモートワーク成功企業の導入事例とその特徴10選
優れたメリットの多いリモートワークですが導入時にはセキュリティ面や勤怠管理の問題など多くの懸念点があるのも事実です。
しかし、独自のシステムや制度を設け、先陣を切ってリモートワークを導入し、成功させている企業も数多くあります。
それぞれの企業の導入事例を紹介しましょう。
株式会社リクルートホールディングス
2016年1月から全ての従業員を対象として日数制限なしのリモートワークを本格導入したリクルートホールディングスはリモートワークの先駆企業と言えるでしょう。
大きな特徴は、自宅だけでなく実家・カフェ・コワーキングスペースでも勤務が可能な自由度の高い制度。
そのために全社員の意識改革や体制整備などの課題をクリアしているのです。
リモートワークの成功事例として多方面で紹介されている代表的な企業です。
【詳細】
・全従業員と会社間の同意及び本人の希望があった派遣社員が対象
・自宅だけでなくコワーキングスペースやカフェでの業務が可能
・リモートワークに上限日数を設けず
・セキュリティ対策が施されたPCなどのツールを会社より支給
・個人評価は業務成果をもとに実施
日産自動車株式会社
2014年から全社員を対象に在宅勤務の制度を整えていた日産自動車では、業務中にリアルタイムでPC上で社員の顔を映し出せ、「連絡可能」「取り込み中」「応答不可」「一時退席中」などの表示切り替えも簡単に行えるようなオンライン環境がしっかりと整っています。
さらに業務の過程と進捗状況が共有できるシステムが確立しているのが大きな特徴で、会社で仕事をする社員との不公平感のない環境を意識しているのです。
また、部分在宅などの変則的な働き方も選択可能という柔軟性も大きな魅力で、子育てとの両立がしやすいと女性に高い評価を得ており、育児休職後の復職率は男性100%・女性98%。離職率も低い数値を維持しています。
【詳細】
・リモートワークは自宅のみ
・生産工程以外の全従業員が対象
・リモートワーク の上限は月5日1日8時間を限度とする(30分単位で取得可能)
・リモートワーク当日には開始と終了を上司に報告し、在籍状況を専用ツールを立ち上げて在席状況を常時同僚に通知
・フレックスタイム制度勤務と併用できる
・在宅勤務制度利用のためのe-ラーニングを事前に受講
株式会社資生堂
女性が活躍しやすい会社として有名な資生堂では、育児や介護支援の対象としてリモートワーク制度を設けていました。
「机に張り付いていても顧客のニーズは掴めない。外に出て新商品を創造できる機会と時間を生み出そう」という目標のもと2016年1月にそのシステムを美容部員を除く全社員を対象としました。
資生堂らしい特徴として、リモートワーク時の女性特有の悩みであるメイクについて「自動メークアプリTeleBeauty(テレビューティー)」を導入。
こうして「せっかくの在宅勤務なのにフルメイクをしたくない」または「ちゃんとメイクしてもカメラの環境によって顔色が悪く見える」などの問題を解決しました。
さらに、顔以外をぼかす機能もあり、部屋の映り込みも低減することができるのです。
【詳細】
・美容部員以外の全ての社員が対象
・リモートワークの上限は月8日間を上限に半日単位で取得可能
・自動メークアップアプリ「TeleBeauty(テレビューティー)によりオンライン会議時にはメイクの必要が不要
東急リバブル株式会社
2016年6月より、不動産業界では非常に珍しいリモートワークの運用を開始。
「サテライトオフィス」の整備も進め、営業職が場所に捉われずに仕事ができるようにし、営業職の新しい働き方を広げています。
情報漏洩対策として、データはクラウドで管理する仕組みを使用。
以前より「働き方改革」に重きを置き、時差出勤制度などを設けていたからこそフレキシブルな対応が可能です。
【詳細】
・段階的に対象社員を増やし、現段階では全社員が対象
・リモートワークの上限日数は月6日、週1〜2回まで
・情報漏洩対策としてデータを外部サーバーにて管理し端末に残さない仕組みを導入
日本航空(JAL)株式会社
2014年に在宅勤務制度を導入し、改善を繰り返した日本航空では現在自宅以外のカフェ・実家・図書館などでも勤務可能。
また日本国外の旅行先でも勤務が可能なワーケーションという働き方も勧めており、休暇中に特定の時間だけ仕事を行うということもできるのです。
リモートワークやワーケーションの際には会社からノートPCやスマートフォンが貸与されます。
【詳細】
・デスクワークの間接スタッフのみが対象
・半日年休+在宅勤務、在宅勤務+直行直帰などの自由な働き方ができる
・一人一人が始業時間を選べ、勤務時間選択制度との併用が可能
・リモートワークを浸透させるためにワークショップを開催
・公共の場所での勤務時には紙資料の持ち運び禁止・覗き見フィルターの利用など厳しいルールを設定
・休暇とリモートワークを組み合わせた働き方「ワーケーション」も国内外で実施可能
カルビー株式会社
リモートワークに全社員の8割が参加しているという特徴を持つ大手食品メーカーのカルビーでは「ワーク・ライフ・バランスが向上した」という社員の口コミが非常に多いようです。
2014年より在宅勤務制度を本格導入し、2017年度にはリモートワークの上限日数を撤廃。
フレックスタイム制と時短勤務制度との併用も可能な柔軟さが大きな特徴です。
また、営業職の社員に対しては直行直帰のモバイルワークを認めています。
【詳細】
・事務間接部門の事務員全社員が対象
・リモートワークに上限日数なし
・前日までにリモートワークの申請をし、翌日に業務報告を行う
・呼び出しがあれば会社に出社できるようにする
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
自社製品を活用した場所に捉われない働き方を全社的に推進しており、遠隔地に居住している社員も働きやすい環境を整えています。
在宅勤務は時間単位で取得可能な柔軟な体制が魅力で、「時差のある海外とも会議を在宅で行うことができる」と社員からの満足度は非常に高いようです。
【詳細】
・全社員が対象
・勤務先は基本自宅だが制限はない
・裁量労働制を採用しており、評価は成果により行われる
株式会社NTTデータアイ
社内にて社員へのアンケートやヒヤリングを行った結果をもとに、自社に合った方法でのリモートワークを本格導入したNTTデータアイでは担当業務によって運用は事業所に一任しています。
時間の制約がある育児中・介護中の社員も働きやすい環境を用意できるよう働き方の選択肢を増やすために業務を効率化させました。
また、会社満足度を向上させ「一人一人が生き生きと働きやすい会社」を目指しています。
【詳細】
・全社員が対象
・業務は自宅のみ
・リモートワーク時は上司に開始と終了の報告を行うとともに、業務計画をチームで共有、「業務の見える化」を推奨
・残業・深夜勤務は原則禁止、終業時間内での勤務を前提
NTTアイティ株式会社
通勤時間をゼロにすることによる社員のワーク・ライフ・バランスの向上を図るためにリモートワークを導入。
自社開発のリモートアクセス・プレゼンス機能などテレワークソリューションツールを徹底活用し機能的に非常に優れた環境を整えています。
さらにリモートワークの緊急利用や私傷病時の長期利用なども可能で柔軟で使いやすいリモートワーク制度が設けられています。
【詳細】
・全社員が対象で雇用形態・職種・役職による制限はない
・リモートワーク上限日数は原則月5日、営業日数連続2日間
・業務は自宅のみ
・リモートワーク前日までにメールにて実施の希望を上司に提出
・リモートワーク初回時に利用申請やツールの使用申請を行う
・紙書類を扱う業務とサーバーの直接作業を認めない
株式会社キャスター
キャスターの主軸事業はオンラインアシストサービス。
その9割以上の社員がリモートワークを実施しており、全従業員170名のうち毎日オフィスに通勤している社員はいないという大きな特徴を持っています。
創業当初から「リモートワークを当たり前にする」という理念を持っていて、コア業務以外はアウトソーシングするという手法を取り入れ、スタッフの多くは東京以外から人材を確保しました。
コミュニケーション量はチャットでカバーし、人間関係にも要点を置いています。
【詳細】
・全社員のうち9割がリモートワークを実施
・リモートワークを前提として創業
・コア業務以外がアウトソーシング化
・出社義務不要
まとめ
様々な業種や職種のリモートワーク成功事例を紹介させていただきました。
多くの企業が想像以上に柔軟な対応を取っていると感じたのではないでしょうか?
「働き方改革」に対応し、在宅で勤務をするだけでなく各社の特色を活かしたシステムも非常に魅力的ですね。
見習うべき点があれば積極的に取り入れ、リモートワーク時の参考にしてみてはいかがでしょうか。
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