相談がうまくいっていない事例3
部下がホームページ作りに自信があると言うので、自社ホームページの制作を依頼しました。
1カ月後、できあがったホームページを見たとたん、とても企業サイトとは思えない、悪趣味な個人用のホームページとなっていたのです。
部下はできあがりにとても満足そうですが、とてもアップロードできる代物ではありません。
上司「これは個性的過ぎて、企業のホームページとしては使いものにならないよ」
部下「そうですか?とてもセンスの良いものができあったと思うのですが…」
上司「作る前に何で相談してくれなかったの?」
部下「え?だって、任せるって言ってくれたので、相談とか必要ないかと考えていました」
結局、せっかく作ったホームページはボツとなり、1カ月が無駄となってしまいました。
相談不足が生むトラブル
任せると言われ、張り切って作ったホームページですが、企業それぞれに特徴やアピールしたい点などは違いますし、イメージというものがあります。
例としては、食品関係の企業サイトに、ドクロやロウソクなどの絵があり、赤や黒の背景を使ったサイトはどう考えても好ましくないです。
まずは作り始める前に、どんな感じで仕上げるのか、上司とよく相談すべきでした。そうしておけば、上記のような問題にはなりません。
相談がうまくいかない原因
個人プレーが得意で、ある程度自分に自信がある社員は、どうしても相談するのに抵抗があり、何でも1人で進めたがります。
そして、上司が好きなタイプではないと、さらに警戒心を強め、ますます相談したくない雰囲気を出してしまうのが問題です。
上司もその雰囲気を感じ、話し掛けにくさを持ってしまい、良好な関係が築けません。
さらには上記のような失敗談があったあとは、2人の仲はさらに険悪なものに変わっていく可能性が高いです。
改善策
毎日、必ず1回は進捗状況を報告させることで、すぐに問題点がわかり、修正できます。
そのためにも事前に朝か、退社時間15分前と、「報連相」ルールを作っておいてください。
問題があったときや重大なミスに関しては、決まった時間以外でも、すぐに報告するように指示を出しておきましょう。
こうしておけば、企業イメージにあった、クオリティの高いホームページが作成できあがります。
研修でも使える事例
社内で「報連相」の研修をする場合、とても良い教材として、事例集や事例研究、例題が盛り込まれたDVDがあります。
「株式会社PHP」が製作したDVDで、「報連相」の基本がわかる内容となっており、新人研修で使うのに最適です。
まずはそのDVD動画で「報連相」を理解するために見てもらい、そのあとに問題集できちんと理解できたかを確認してください。
DVDには上司と部下、それぞれの立場から「報連相」の仕方がわかるようになっています。
報告、連絡、相談とそれぞれに、箇条書きで基本的なポイントが押さえてあり、社会に出たばかりの新入社員でも理解できる充実した内容です。
新入社員に対し、上司はどのように「報連相」を指示すればいいのか、具体的な事例を用いての説明があります。
あとは実際に働いている人々をモチーフに、ミニドラマ仕立てで事例がわかりやすくなっているシーンもあって、楽しく見られるのもメリットです。
報連相で注意すべきポイント
「報連相」をする前に、注意しておくポイントを挙げていきます。部下に指示をする前に、まずは上司から注意すべきポイントを把握しておきましょう。
事実と意見を区別する
報告を受けるとき、自分の意見や主張をしてくる部下がいますが、それよりは先に事実を述べるように指示を出しておきます。
意見や主張で、事実があいまいになってしまわないよう、正確な事実のみを先に報告してもらうことが大切です。
「Who(だれが)When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)」の「5W1H」を意識しながら、しっかりと事実を報告してもらってください。
そのあとで意見があるようなら、それも聞いておくべきですが、まずは事実と意見をはっきり区別させ、先に事実を正確に報告させましょう。
伝えたい結論を明確にする
「報連相」をしてもらうときには、結論から先にしっかりと伝えてもらいます。そうしないと、何を伝えたいのかわからなくなってしまうからです。
そうなった経緯や原因などは、結論を聞いてからでも問題ありません。話が迷走してしまわないうちに、結論は何かを明確にしてください。
「結局、何の話だったのかわからなかった」とならないように、部下には伝えたい結論が何かをまとめてから「報連相」をするように指示をしておきましょう。
適切なタイミングで伝える
とても忙しくて取り込んでいる最中や、重要な会議前の「報連相」は避けるべきです。
そのためにも、「報連相」のルール作りでは、適切なタイミングがいつで、どういうときなら「報連相」をしても問題ないのかを事前に説明しておきましょう。
その説明がないと、部下は「報連相」のタイミングを逃してしまいますし、「報連相」自体が煩わしいと感じるようになります。
部下も仕事で忙しいのは同じです。双方にとって最もベストなタイミングはいつなのか、どうすれば無理なく「報連相」ができるのかをよく話し合って決めておいてください。
曖昧な表現や嘘を避ける
「確かこう言っていたような…」など、非常にあいまいな言葉での「報連相」は、誤解を生みますし、トラブルの原因ともなります。
あとは自分のミスをごまかすための嘘を付くのも、あとで大きな問題を引き起こす可能性が高いです。
「報連相」は信頼があってこそ、確かな効果が得られるもなので、嘘でごまかす「報連相」はまったく意味がありません。
嘘を付くことでリスクが増えること、問題があることを十分に理解させることが大切です。
それには上司の常日頃の態度が関係してきます。個人的な感情で怒ったり、嫌味を言うことはありませんか?
それらは「報連相」で嘘を生み出します。部下からの信頼を得るための努力も、惜しみなくしていきましょう。
内容によって方法を変える
「報連相」も業務の種類によっては、内容もかなり違います。
報告は仕事でやったことをただ言えばいいわけではなく、業務内容によっては報告内容も変わる点に注意してください。
建築現場で作業員はどんな報告をすべきか、医療現場では看護師は何を報告するのか、それぞれの業務内容にあった「報連相」をしましょう。
事例を活かして正しい報連相ができるようにしていきましょう
「報連相」の失敗談や研修で使える事例集など、部下にわかりやすく教えられるツールがそろっています。
部下がしっかりと「報連相」をしてくれるように、まずは上司が「報連相」について十分な理解が必要です。
単に言葉の意味を知っているだけではなく、さまざまな事例を読み、想定外でも対応できるように柔軟性を持ってください。
そして、正しい「報連相」ができるように指示をしていきましょう。