プライドの高い人
一つには、プライドが高いタイプの人です。こういうタイプの人は失敗すると隠したがる傾向にあります。そこで失敗その他自分に不都合な事実は隠してしまう傾向にあります。これは重大な会社のリスクを招きかねません。
プライドの高い人は、報連相のような場面では弱点が目立ちますが、高いパフォーマンスを上げられる負けん気や根性も人一倍な側面があります。そこで、どうやってそのプライドをくすぐって報連相をさせるかが問題になります。
こういう人が報告や相談をしてきたら、上司が大げさにほめるくらいでよいと思います。「あなたの報告のおかげで助かった」「情報共有を素早くしてくれるからすぐに動けた」「いつも相談してくれるので、正しい判断につながっているようだ」といったフィードバックをすることで、プライドがくすぐられ、徐々にパフォーマンスの一部として報連相をとらえてくれるようになります。
無責任な人
もう一つの典型的に報連相をしないタイプの人は、無責任な人です。無責任がどこからくるかというと、理解力不足にあることが多いものです。そのため、仕事に対する理解が一定期間以上進まない場合は、理解しやすい部署への配置転換やプロジェクトのアサインを変えるなど、理解を促進することにより報連相ができるようになる見込みがあります。
報連相ができるようにする対策
上記で報連相ができない原因や、できない人の特徴について、それぞれの対応を少しずつ紹介しました。これらをさらにまとめますと、報連相ができるようにする最大公約数的な対策として、次のような対策があると考えられます。
上司の視点
上司の視点からは、報連相をさせるために自分はなにを改善・工夫すればいいのか悩むのが普通です。すぐにでも手を付けたい、というのであれば、下記のような対策を打つべきでしょう。
―報連相が必要なのはいつなのか、事前にできるだけ報告・連絡・相談それぞれに明確にする
―報連相のルールを具体的に決めておくこと。ルーチンワークについては最低こうするなどの場面別に適切な手段とチェックシート・テンプレートの指定をし、ルールわかりやすくする。
―怒らない、批判しない、助ける、指示する、の「おひたし」を徹底する。
部下の視点
部下の視点からすると、誰だって会社に行って思うような成果が上がれば仕事は面白くなります。報連相は、仕事上の成果・パフォーマンスの一部ととらえて下記のように考えてはどうでしょうか。
―報連相がどういうことがあるとしやすいのか、うまくいかなかったのはなぜか考える。
―失敗したことは教訓として次の改善を狙えば「失敗は取り返せる」というマインドを持っておく。
―報連相も重要な会社での自分のミッションであり、自分の報連相から会社全体に良い影響も悪い影響も生み出すことがある、と理解する。
報連相を活発にしてより良い組織をつくりましょう
報連相が活発になる組織は、職務の効率性・リスク管理のできるよい組織です。しかし、実際には、報連相を活発に行えず、対策を打つべき会社は多くあることでしょう。
報連相の不足・不適切な状況の原因は、上司・部下どちらだけにあるということは言えないため、上司・部下片方だけでは適切な対策をとることができません。双方の相互作用により対策できるようになるものです。
今後、人手不足を補うため、外国人や、多様なバックグラウンドを持つ人材が増えていく見通しで、報連相のようなコミュニケーションの課題に真剣に取り組むことにより、多彩な人材を早期に戦力化し、会社の財産になります。
上司・部下のそれぞれの対策を通じて双方が歩み寄り、報連相を活発にしてよい組織を作りたいものです。