ただ、いきなりスライドを描き始めるのはよくありません。家を建てる時にはまず設計図を作るのと同様、説明資料にも全体のストーリーを明確にした設計図が必要です。これをストーリーラインと言います。
ストーリーラインを作る際には以下の情報を整理します。
- ページ番号 ・・・ 何ページにそのスライドを配置するか
- スライドのタイトル ・・・ どのようなテーマのスライドか
- スライドのメッセージ ・・・ そのスライドで言いたいことは何か
- スライドのメッセージを支える情報 ・・・ そのスライドで言いたいことを伝えるために必要な情報やイメージは何か、情報源はどこにあるか
ストーリーラインを作成することで、1ページ1ページのスライドを作る前にそもそもの伝えたいことのズレや誤りを修正することができ、無駄なスライド作ることを防げます。
ストーリーラインはスプレッドシートで作成することもあれば、スライドに上記の内容だけを描くこともあります(筆者の周りでは「スケルトン」と言っていました)。
具体的なストーリーラインの作り方は以下の記事を参考にしてみてください。
いきなりスライドを書かない!プレゼン資料作成前に始めるストーリーラインの作り方
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ストーリーラインに対してフィードバックをもらう
ストーリーラインが明確になっていると、ある程度どういうことを説明・主張したいかが見えてくるかと思います。そのタイミングで上司やクライアントといった説明相手に資料に対して気になっているところ、相手の意見を確かめたいところを確認しましょう。そうすることで早い段階で説明する側と説明を受ける側のズレを認識することができます。
この段階で真正面から説明しても大丈夫な相手であれば時間を取って確認してもいいですし、ストーリーラインの段階で説明し難い相手であれば、他の打合せや雑談なのでそれとなく話を振って相手の感触をつかむのもよいかと思います。
プレゼンや資料説明を成功させるには、相手がYESと思えることをどれだけ積み重ねられるかがポイントです。事前に相手にYESと言ってもらうことができれば、本番もYESと言ってもらえる可能性が高くなります。
手書きでスライドイメージを作成する
ストーリーラインが固まったら、一つ一つのスライド作成に着手します。ただ、多くの人はここでスライド作成アプリの画面を前にして頭を抱えるのではないでしょうか。プロのコンサルタントの多くは、いきなりスライドに向かう前にA4の方眼紙等に手書きでスライドの構成要素を描きます。ほとんどの人は手書きで描く方がスライド作成アプリよりも高速にスライドイメージを描けるからです。
また、チームで資料作成をしている場合は手書きで描いたものを部下やチームメンバーに渡してスライド化してもらうこともできます。
これまでいきなりPCの画面に向き合ってた人は是非、手書きで描いてからPCで作成するようにしてみてください。驚くほど作業がはかどるかと思います。
資料を作りこむ
手書きでスライドイメージを作成したら、スライドを作りこんでいきましょう。
スライド作成の作業で悩む3大ポイントは「レイアウト」「配色」「アイコン・イメージ」の3つです。それぞれにおいて自分の中で引き出しを持っておくことで作業が劇的に早くなることでしょう。
レイアウト
過去に作った資料の中で使いまわしができそうなレイアウトは汎用化して保存しておくと、ゼロからレイアウトを作らずに済みます。また、スライドのレイアウトに関する書籍は多数販売されていますので、それを見ながら、使えそうなレイアウトをテンプレート化するのもよいかもしれません。
また、レイアウトの引き出しを多数持っておくと手書きのスライドイメージを作る段階でも役に立ちます。
配色
配色はスライドのわかりやすさを左右するとても大事な要素です。よくある失敗として
・色を使いすぎている
・強調しすぎている
の二つがあります。前者に関しては「ベースの色」「強調色」「補助色」の三色程度に抑え、スライド内で使った色に意味を持たせることが重要で、後者に関しては本当に伝えたいこと1~2か所程度に強調をとどめておくのがポイントです。
アイコン、イラスト
作りたいスライドに適切なアイコン、イラストを探すのに時間がかかること、ありませんか?世の中にはアイコンやイラストをまとめたサイトがあるので、自分が普段使うサイトを決め、ブックマークしておくことで探す手間が短縮されます。
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キレイな資料作成に必須!オススメのイラスト・アイコン素材サイト10選
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ショートカット
上記3つに加え、スライド作成アプリのショートカットを覚えると作業時間が短縮されます。Microsoft社のパワーポイントの主なショートカットについては以下の記事にまとめてありますので参考にしてください。
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スライド作成時間が1/3に?絶対に覚えるべきPowerPoint(パワーポイントのショート)カット22選
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ストーリーをセルフチェックする
ここまでくると資料の完成まであと一歩です。単体のスライドを作りこんでくると資料全体で言いたいことが見えなくなることが往々にしてあるため、一通り資料ができたら全体のストーリーとそれを支える情報に一貫性があるかをチェックしましょう。筆者がストーリーチェックする際によくやる方法は、
- 8in1で印刷して机に並べて眺める
- スライドアプリをサムネイル表示(パワーポイントの場合alt→V→Dのショートカットでできます)にして眺める
の2つです。
説明・レビューに臨む
ここまでの手順を踏めば、伝えたいこととそれを伝えるためのコンテンツがわかりやすく網羅された資料ができているはずです。
本番の説明やレビューに臨む際には事前にその説明・レビューでほしいフィードバックの内容を示し、可能であれば資料を送っておくのもよいでしょう。ただし、説明相手との関係性によってこういう事前の共有ができるのか否かが変わってくるので、不安な場合は説明相手のことを知っている方に確認するとよいかと思います。
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上司からデキると思われる!資料レビューの効果を劇的に高める10のポイントとは
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まとめ:適切な段取りによって資料作成を効率化しましょう
いかがでしたでしょうか?「段取り八分」と言うことわざがあるように、資料作成も手順をしっかりすることによって大幅に効率をあげることができます。これまでいきなりPCに向かってしまっていた人は是非この記事に書いてあることを実践してみてください。