新しい企画の説明資料や、お客様への提案書、定例ミーティングの報告資料など、資料作成はほぼ全てのビジネスパーソンにおいてなくてはならないスキルです。しかしながら資料作成のポイントについて多くの人は体系だった指導を受けることは少なく、日々頭を悩ませながら多くの時間をかけて作成しているのではないでしょうか。
筆者の経験上、資料作成を最も効率的に進める方法は見栄えのよいスライドを作るコツや、資料作成アプリのショートカットを覚えることに加え、資料そのものを作成する手順によるところが大きいと考えています。
こちらの記事では、戦略コンサルタントである筆者が数多くの資料作成の経験を元に、度重なる資料修正を行わないための資料作成の進め方について説明をしていきます。
資料作成の前提を明確にする
資料作成は相手に何かを要求したり理解してもらうための手段であり目的ではありません。やみくもにスライド作成に取り掛かる前に、相手に説明をする上での前提を明確にしましょう。具体的には以下を明らかにすると、適切な資料作成の方向性が見えてくるかと思います。
資料説明によって得たい成果は何か
資料を説明する際に、説明者が得たい成果が相手に明確に伝わらないと、漫然としたフィードバック・議論で終わってしまいます。
正しく言語化し、資料上で明確に示すことが重要です。
そもそもスライド形式である必要があるのか
成果を得るための手段がスライド形式の資料だけとは限りません。箇条書きの資料でも十分に説明に足るのであれば、敢えて時間をかけてスライドにすることはないでしょう。
説明相手との関係性上、確認ができるのであればそもそもスライドにして説明する必要があるのか確認することで無駄な資料作成の時間を省くことができます。
プレゼン形式で話すのか、資料として渡すものなのか
プレゼン形式で話すこと(その場で理解してもらうこと)を前提とした資料と、ハンドアウトとして渡すこと(後からじっくり理解してもらうこと)を前提とした資料で、資料に詰め込む情報量や見栄えが大きく変わってきます。あらかじめ説明の形式を明確にしておくことで見栄えの修正を防ぐことができます。
事実・論理が重要な資料なのか、印象・感覚が重要な資料なのか
分析結果を説明するのであれば、分析結果の確からしさや導かれる示唆そのものが重要であり、新しい商品を発表するのであれば、その商品のすばらしさを直感的に理解させることが重要です。
資料の性質により、作りこむ際の力点(事実データの多さ・妥当性の高い示唆なのか、資料の見た目の美しさ・インパクトなのか)が変わってきます。
段取りを決めておく
資料作成の前提を明確にしたら、相手と説明までの段取りを決めます。これは資料作成に限らないことですが、相手ありきの仕事を完遂させるためには、事前に相手の期待値を探り、期待値を定めることがとても重要です。
どのタイミングで、どのレベルでの報告を求めているのかを明らかにし、最終化までのスケジュールを決めましょう。そうすることで資料作成の進捗について相手から確認が入ることが減ることでしょう。
その際に説明相手の関心ごとについてあらかじめ確認しておくと、資料作成に反映させることができるので相手の期待値とズレた資料になることを防げます。
ストーリーラインを作成する
ここまで下準備ができたら、資料作成に入りましょう。