1.「〜ということ」「〜である」を削る
テクニックの1点目は、「〜ということ」「〜である」などを削ることです。具体例で見てみましょう。
例1:みんなの意識を上げるということが重要です。
例のように「〜ということ」があると、長々とした文章になります。この場合は、「みんなの意識を上げることが重要です」と、簡潔に伝えましょう。一文を短くすることで文章は簡潔になり、読む負担を軽減できます。
例2:地球温暖化の原因は、急激な森林伐採であることが考えられる。
例2も同様に、「〜である」によって長文になっています。この場合も「地球温暖化の原因は、急激な森林伐採が考えられる」にまとめましょう。
2.同じ言葉の繰り返しをやめる
テクニックの2点目は、同じ言葉の繰り返し、つまり重ね言葉を使わないことです。重ね言葉を使ってしまうと、表現がくどくなり、必要以上に長い文章になります。
以下は、重ね言葉の代表例です。
例:すべてを一任する 各〜ごと まず第一に
同じ言葉の繰り返しを避け、簡潔な文章を心がけましょう。
3.箇条書きを活用する
テクニックの3点目は、箇条書きの活用です。具体例で見てみましょう。
例1:この本は、初心者向けであり、専門用語をあまり使用せず、わかりやすい言葉で解説されています。さらに、具体例もあるため、非常に理解しやすく、多くの読者に支持されています。
例1では、本の特徴を長々と書いています。この文を箇条書きでまとめると以下のようになります
例2:この本には以下の特徴があり、多くの読者に支持されています。
・初心者向け
・難しい言葉や専門用語が少ない
・具体例あり
箇条書きを活用することで、特徴が明確にわかります。また、簡潔な文章にもなるため、読み手の負担を軽くできます。
4.こそあど言葉はなるべく使わない
テクニックの4点目は、こそあど言葉を使わないことです。こそあど言葉とは、「これ」「その」「あの」「どの」など、物事を指し示す言葉です。過剰なこそあど言葉の使用は、読者に混乱を招きます。
例1:地球温暖化とは、大気中に温室効果ガスが放出され、それが原因で地球全体の気温が上昇する現象です。これにより、北極の氷が溶け、海面が上昇しています。それらは、北極に住む動物にも影響を及ぼしています。
こそあど言葉を連続して使用すると、何を指しているのかわからなくなります。
例2:地球温暖化とは、大気中に温室効果ガスが放出されることにより、地球全体の気温が上昇する現象です。これにより、北極の氷が溶け、海面が上昇しています。また、北極に住む動物にも影響を及ぼしています。
もし、こそあど言葉を使用するのであれば、例2のように過剰な使用は避け、何を指しているのかわかる文章にしましょう。
5.同じ文末表現を続けない
テクニックの5点目は、文末表現の重複を避けることです。同じ文末表現を繰り返すと、文章のリズムが悪くなります。具体例で見てみましょう。
例:このソフトは、リアルタイムにデータを編集できます。さらに、複数のメンバーに共有することもできます。
例のように「できます」が2回繰り返して使用されています。この際は、例2のように「できます」を違う言葉に言い返しましょう。
例2:このソフトは、リアルタイムにデータを編集できます。さらに、複数のメンバーへの共有も可能です。
特にビジネスシーンでの文章のポイントと例文
ビジネス文書は、ビジネスマナーや論理的な文章が求められます。こちらでは、報告書やビジネスメールなど、ビジネスパーソンに役立つ文章の書き方の基本ポイントをご紹介します。
- 事実と意見を区別する
- 拝啓と敬具の使い方に注意する
- 5W3Hを意識する
では、それぞれのポイントについて詳しくご紹介します。
1.事実と意見を区別する
ポイント1点目は、事実と意見の区別です。事実と意見が混合すると、根拠のない文章になる恐れがあります。具体例で見てみましょう。
例1:若者が多く集まるA地域に出店すべきだと考えます。
この例では、「若者が多く集まる」ことの事実が見当たらず、意見のように述べられています。この場合は、以下のように事実と意見を区別して述べましょう。
例2:A地域は、2018年より若者の流入が増加しています。そのため、若者が多く集まるA地域に出店すべきだと考えます。
2.拝啓と敬具の使い方に注意する
ポイント2点目は、拝啓と敬具の使い方です。拝啓とは、「へりくだって申し上げる」という意味があり、文章での挨拶の役割があります。一方、敬具とは、「つつしんで申し上げた」という意味があり、文章での締めの役割があります。
拝啓と敬具は、それぞれ意味が異なります。また、書くべき位置も異なります。拝啓と敬具の配置は、以下のようになります。
拝啓
〇〇の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
〜中略〜
まずは略儀ながら、書面にて御礼申し上げます。
敬具
このように、拝啓は冒頭で左寄せで、敬具は文章の最後に改行後に右寄せで記述するのがマナーです。なお、拝啓の後の改行は無くても構いません。
拝啓と敬具の位置を誤ると、マナー違反になります。ビジネス文書を書く際は、両者の意味と使い方をきちんと理解しましょう。
3.5W3Hを意識する
ポイント3点目は、5W3Hを意識することです。5W3Hは、以下の通りです。
- When:いつ
- Where:どこで
- Who:誰が
- What:何を
- Why:なぜ
- How:どのように
- How much:いくら
- How many:いくつ
一般的に、文章を書く際は5W1Hが用いられます。その一方で、ビジネス文書においては、さらに2H(How much・How many)の具体的な数値を加えることで、説得力のある文書を書くことができます。
文章力を磨くために本を読んで学ぶ
文章の書き方の基本とコツをご紹介しました。文章力は、実際に書くだけでなく、本を読むことでも磨けます。また、本によっては具体例を交えて解説されているため、文章の参考にもなります。
文章力をさらに上げたい方は、以下の本が役立ちます。
- 20歳の自分に受けさせたい文章講義
- こちらは、基本的な文章の書き方を学びたい方におすすめです。文書作成のコツについて、具体例を交えてわかりやすく解説しています。
- 入門 考える技術・書く技術
- こちらは、論理的な文章を書きたい方におすすめです。報告書や企画書など、論理的思考が必要な文章の書き方を学べます。
- 伝わる・揺さぶる!文章を書く
- こちらは、読み手に強い印象を与えるような文章を書きたい方におすすめです。さらに、文章の書き方だけでなく、会話のコツについても紹介しています。
- キャッチコピー力の基本
- こちらは、キャッチコピー力を磨きたい方におすすめです。「具体的な数字を入れる」「本音で言い切る」など、実践しやすいテクニックを中心に解説されています。
文章の基本とコツをおさえて正しい文章力をつけていきましょう
読みやすくわかりやすい文章作成の基本とコツをご紹介しました。文章は、「結論が明確であり、その理由や原因がわかりやすい」ことが求められます。わかりやすい文章を書くためには、ご紹介した書く前の準備と基本ルールを意識しましょう。
また、ビジネス文書では、ビジネスマナーや論理的な文章力が求められます。「事実と意見の区別」「ビジネスマナー」「5W3H」の3点をおさえましょう。さらに文章力を上げたい方は、本で学ぶなどして実践を重ね、テクニックを磨いていきましょう。