時候の挨拶とは
時候の挨拶とは、季節に応じて使い分ける礼儀文であり、頭語の後に記述します。ビジネス文書や手紙で拝啓を書く場合は、その後に季語を含める等した時候の挨拶を書きます。こちらでは、時候の挨拶の書き方と季節ごとの例文をご紹介します。
書き方
時候の挨拶は、以下のように書きます。
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
例文では、「時下」が時候の挨拶に該当します。時下は季節を問わず年中使える言葉です。時候の挨拶は、拝啓の後に改行不要で記述します。これは、縦書きも横書きも同様です。
例文
拝啓と頭語の後に続く時候の挨拶は、「時下」のように通年で使用できるものもあれば、季節ごとに使用できるものもあります。ビジネス文書で、季節ごとに使用できる時候の挨拶は、以下の通りです。
月時候の挨拶
1月新月の候/賀春の候/厳寒の候/希望に溢れる新年を迎え/寒さ厳しき折柄
2月春寒の候/晩冬の候/節分の候/梅の蕾がほころぶ季節/余寒厳しき折柄
3月早春の候/春暖の候/春分の候/三寒四温と申しますが/桜の開花に春の訪れを感じる季節
4月桜花の候/春陽の候/春眠の候/すっかり春らしくなりましたが/春の日差しが暖かく感じる季節
5月残春の候/暮春の候/青葉の候/若葉が薫る季節/風薫る新緑の季節となりましたが
6月入梅の候/梅雨の候/初夏の候/さわやかな初夏を迎え/梅雨の季節となりましたが
7月盛夏の候/猛暑の候/酷暑の候/暑さ厳しき折柄/梅雨も明け暑い日が続いておりますが
8月残暑の候/納涼の候/暮夏の候/例年になく残暑が厳しですが/残暑が続いておりますが
9月初秋の候/秋分の候/涼風の候/さわやかな季節を迎え/残暑も過ぎ、過ごしやすい季節となりましたが
10月秋晴の候/秋月の候/紅葉の候/秋晴れが心地よい季節/秋が日増しに深まってまいりましたが
11月晩秋の候/暮秋の候/立冬の候/小春日和のこの頃/落葉散りゆく季節
12月師走の候/初雪の候/歳末の候/寒さが身にしみる季節となりましたが/年の瀬隣忙しい季節となりましたが
これらの季節の挨拶を、文書を送る季節にあわせて記載し、その後に「相手の繁栄を喜ぶ・安否を尋ねる挨拶」を記載していきます。
相手の繁栄を喜ぶ・安否を尋ねる挨拶とは
相手の繁栄を喜ぶ・安否を尋ねる挨拶とは、拝啓、時候の挨拶の後に続く文です。こちらでは書き方と例文をご紹介します。
書き方
相手の繁栄を喜ぶ・安否を尋ねる挨拶は、以下のように書きます。
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
例文では、「ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」が相手の繁栄を喜ぶ挨拶に該当します。ご清栄は企業や組織に対して使用する言葉であり、個人宛てに書く場合は、「ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」になります。
例文
相手の繁栄を喜ぶ・安否を尋ねる挨拶は、上述の文だけでなく、いくつか種類があります。相手の繁栄を喜ぶ場合と安否を尋ねる場合の例文をご紹介します。なお、安否を尋ねる挨拶は、法人宛には使わず、個人宛の文書のみ使用します。
相手の繁栄を喜ぶ場合
・相手が会社の場合
貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます
貴社ますますのご盛栄の段、お慶び申し上げます
・相手が店の場合
貴店におかれましてはますますご繁盛のことと大慶に存じます
貴店にはますますご繁盛の由、お喜び申し上げます
・相手が個人の場合
ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
つつがなくお暮らしのこととお慶び申し上げます
安否を尋ねる場合
みなさまにはその後お変わりなくお過ごしのことと存じます
ご家族の皆様はお元気にお暮らしのことと存じます
ここまでの、拝啓に続く挨拶をまとめると、以下のような形になります。
「拝啓 残春の候ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」
敬具に続く「記」の使い方
ビジネス文書で案内状を書く場合、日時や開催地を箇条で記述します。箇条で記述する際は、敬具の後に「記」と記述するのがマナーです。こちらでは、「記」の使い方をご紹介します。
「記」の意味
「記」は、ビジネス文書で使われる書式です。記書きと呼ばれ、ビジネス文書で箇条書きの際は、「記」を書くことがマナーとされています。社内文書、社外文書問わず、記書きは使用されます。
「記」の書き方
「記」を書く際は、以下の2点のルールがあります。
- 敬具の後に使う
- 「以上」で締めくくる
まず、ルールの1点目は、敬具の下に「記」を書くことです。ビジネス文書で箇条書きをする場合は、本文の下に記述する必要があります。そのため、本文の文末を敬具で締めくくり、その後に「記」で箇条書きを記述します。
ルールの2点目は、「以上」で締めくくることです。「記」と「以上」はセットで使用する必要があります。必ず「記」を書いた後は、「以上」も記述しましょう。wordで記載する場合は、「記」の入力して改行すると、「以上」が自動で入力されます。
以下は、「記」と「以上」の例文です。「記」は本文の中央に、「以上」は右寄せで書きましょう。
記
1.日時:令和〇〇年〇〇月〇〇日
10:00〜12:00
2.場所:〇〇ホール3階
以上
拝啓・敬具を交えて適切なビジネス文書を作成しましょう
拝啓と敬具の意味と使い方をご紹介しました。拝啓は頭語、敬具は結語と呼ばれる慣用語であり、それぞれ「つつしんで申し上げます」、「つつしんで申し上げました」という意味があります。
拝啓と敬具は、ビジネス文書の種類や送る相手によって、使う場合と使わない場合があります。ビジネス文書を作成する際は、まずは目的と相手をきちんと確認してから、拝啓と敬具を使用しましょう。また、拝啓と敬具は配置にも注意しなければいけません。縦書きの場合と横書きの場合、それぞれの位置を確認し、特に敬具の場合は文字の間にスペースを空けることを忘れないようにしましょう。
拝啓と敬具は、きちんと使わなければマナー違反になります。ビジネス文書を作成する際は、きちんと使い方を把握し、適切な方法で作成しましょう。